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株式会社日立プラントサービス

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2019年1月11日
株式会社日立プラントサービス

人工衛星に搭載する高精度・大型の光学系の検査を
大気圧下で実施できる環境設備を開発

従来の真空チャンバと比べて検査期間を40%短縮、運用コストを60%削減し、
人工衛星開発・生産の効率向上を実現

今回JAXAとの共同研究で試作した環境設備の外観
今回JAXAとの共同研究で試作した環境設備の外観

大規模化した場合の設備構成図
大規模化した場合の設備構成図

 株式会社日立プラントサービス(取締役社長:中津 英司/以下、日立プラントサービス)は、このたび、人工衛星に搭載する高精度・大型の望遠鏡やカメラのレンズ・関連装置などの光学系の検査を、大気圧下で実施できる環境設備(以下、本設備)を開発しました。 本開発には国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)との共同研究により確立した技術が生かされており、精密な空調制御により、温度・湿度・気流のゆらぎを極力抑制した状態で検査を行うことが可能なため、真空環境での検査と同様の結果を得ることができます。 本設備を使用することで、従来の真空チャンバを利用した検査と比較して、検査の前後での真空排気・大気圧戻しの工程が不要となるため、検査期間を40%短縮し、運用コストを60%削減*できる見通しです。 真空チャンバと比較して大型化も容易であり、人工衛星の開発・生産の効率向上を実現します。

 近年、民間企業も含めた宇宙産業の拡大が予想されており、高精度かつ低コストの光学系を搭載する人工衛星の開発、量産化のための検査環境設備へのニーズが高まっています。 気候変動や災害状況把握に用いられる地球観測衛星や、最先端宇宙科学分野で利用される宇宙望遠鏡などには、高精度な光学系が搭載されていますが、光学系を製作し、性能確認を行うためにはnm(ナノメートル)レベルの検査・調整が必要です。 これらの検査は、大気のゆらぎによる測定誤差を排除するために、大気の影響を受けない真空環境で行うことが一般的で、従来は真空チャンバが利用されていました。 しかし、真空チャンバは、検査の前後で真空排気、大気圧戻しの工程が必要なため、全体の検査期間が長くなり、運用コストも高くなります。 また、実験資材は真空環境に対応したものを使う必要があるとともに、一般的な測定機器は真空に対応しておらず、測定機器本体を真空チャンバの外に設置して、真空チャンバの観測窓を通して対象物を測定するため、真空チャンバ内の任意の場所の計測が困難です。 さらに、真空に耐えうる大型の圧力容器の製作は非常に困難なため、測定対象物の大型化への対応が課題でした。

 日立プラントサービスは、長年にわたるクリーンルームの開発・納入で培った経験・ノウハウを生かして、2002年に、電子・精密分野の製造プロセス向けに±5/1,000度での温度制御を可能とする精密環境チャンバを開発・製品化しており、数多くの納入実績があります。
 そこで、こうした精密空調技術を応用し、真空チャンバの課題である検査期間の短縮および運用コストの低減を図るために、大気圧下での光学系の検査の実現に向けて、2017年10月からJAXAと共同研究を開始しました。 JAXA保有の光学検査装置による測定を様々な環境条件下で行った結果、精密温度制御に加え、低露点湿度制御や温度可変制御、気流整流化、断熱構造などの技術を組み合わせることで、測定誤差の要因となる温度・湿度・気流のゆらぎを極力抑制する技術を確立し、光学系の検査を高精度で行うことができる環境設備を開発しました。

 今回開発した本設備は、超精密空調機、低露点除湿空調機および大型整流吹出口を実装した断熱構造の環境試験室から構成され、試験室内の空気温度が±0.01度、露点温度が−30度以下という高精度に制御された恒温・恒湿の検査空間を形成し、大気圧下でも真空環境と同様の検査を行うことができます。 これにより、検査の前後で真空排気、大気圧戻しの工程が不要になるため、真空チャンバと比較して検査期間の短縮と運用コストの低減を実現します。 また、最大約2m(高さ)×2m(幅)の吹出口を複数並べることで、最大約10m(幅)×10m(高さ)規模の吹出口を有する大型環境設備を構築できるため、真空チャンバでは難しい大型の光学系の検査を行うことも可能です。
 2017年12月に試作した本設備において、人工衛星検査と同様の光学系の検査を行った結果、従来の真空チャンバと同等の検査精度を確認することができました。 また、直径6mの真空チャンバと同等規模の本設備を製作・運用したと想定し試算した結果、検査期間を40%短縮し、運用コストを60%削減できる見通しが得られました*

 今後、日立プラントサービスは、本設備の構築・提供サービスなどの実用化をめざすとともに、高度な検査・加工が必要とされる光学機器や精密機器などの分野においても今回の開発成果を活用していきます。 また、強みである開発力やエンジニアリング力を、宇宙産業をはじめとした先端産業や新たな分野にも生かし、工場・設備のエンジニアリングから設計、施工、維持保守サービスまで一貫したトータルエンジニアリング事業を拡大していきます。

*
「直径6m放射計スペースチャンバ ユーザーズマニュアル」(宇宙航空研究開発機構)および「概算設備利用価格表」を元に、ユーザーマニュアル記載の標準的な運用パターン(図4-1標準チャンバ排気曲線等)での試験期間、コストを試算した結果と、直径6m放射計スペースチャンバと同規模の環境試験室を製作し、同じ検査を実施したと想定し試算した検査期間、コストを比較。

日立プラントサービスの産業用クリーンルームの概要

http://www.hitachi-hps.co.jp/business/cleanroom/index.html

本設備(精密空調)とその他の環境における測定結果偏差(ばらつき)の比較


本設備(精密空調)とその他の環境における測定結果偏差(ばらつき)の比較

各環境においてレーザー干渉計を用いた高精度鏡面測定を複数回行い、測定値のばらつきの
標準偏差を比較したもの。偏差が小さいほど、測定誤差が小さい。
 ・精密空調      : 今回JAXAとの共同研究において試作した環境設備での結果
 ・真空チャンバ    : 試作した環境設備と同規模の真空チャンバでの結果
 ・クリーンルーム空調 : 乱流式ダウンフロー空調のクリーンルームでの結果
 ・一般空調      : 建屋付属のパッケージエアコンで空調している環境での結果

お客様お問い合わせ先

株式会社日立プラントサービス フロントソリューション本部 研究開発センタ [担当:田中]
〒170-6034 東京都豊島区東池袋三丁目1番1号サンシャイン60
TEL: 03-6386-3000 (直通)

以上