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2018年9月4日
株式会社日立プラントサービス

設備機器の据付工事における墨出し作業を自動化するロボットシステムを開発

作業効率向上と高精度を実現、人為的ミスの防止により、工事現場の生産性を向上

自動墨出しロボットシステムによる作業 (右上は作業指示用タブレット端末)
自動墨出しロボットシステムによる作業 (右上は作業指示用タブレット端末)

 株式会社日立プラントサービス(取締役社長:中津 英司/以下、日立プラントサービス)は、ITシステムを活用して設備機器の据付工事における墨出し作業を自動化する、自動墨出しロボットシステム(以下、本システム)を開発しました。本システムを活用することにより、設備機器の位置を決めるために床面に線や文字情報を描く墨出し作業の効率が従来に比べて倍増*1し、かつ熟練技術者と変わらない高精度な作業を実現することが可能です。また、人為的ミスによる手戻りの防止など、工事現場全体の生産性向上にも貢献できます。
 日立プラントサービスは、さまざまな設備工事に本システムを導入することで、生産性向上と一層の施工品質の確保を図り、熟練技術者不足の課題にも対応していきます。また、将来的には、本システムを夜間に無人で稼働させることにより工程短縮を図るとともに、BIM*2データとの連携機能を拡充することで、プロジェクトの上流から一貫したエンジニアリングを実現し、さらなる施工の合理化・自動化を推進していきます。

 設備工事において、配管やダクト、生産設備などの機器の位置を決めるために、床面に線や文字情報を描く作業を墨出し作業と呼びます。従来、この作業は、熟練技術者が設計図面から墨出し位置を選定し、補助作業員とともにレーザー墨出し器などの測量器を用いて位置を確認しながら、糸をはじいて直線を引く工具などを用いて手作業で行われていました。しかし、この墨出し作業は大量で、膨大な手間と時間がかかっていました。また、これらの経験・ノウハウを有する熟練技術者の不足も大きな課題となっており、墨出し作業でのミスは、以降の据付工事での手戻りにつながる場合もあり、現場の生産性向上を図る上でのボトルネックとなっていました。

 そこで日立プラントサービスは、株式会社日立プラントコンストラクションの協力により、長年培ってきた施工合理化技術とデジタル技術を組み合わせて、墨出し作業を自動化する本システムを開発しました。
 本システムは、CAD*3データから墨出し用データに変換する墨出しデータ化アプリ、墨出し用データを元にロボットに作業指示を行うタブレット端末のコントロールアプリ、指示を受けて自律走行しながら作業を行う自動墨出しロボット、およびロボットの位置を計測する自動追尾型測量器(市販品)から構成されます。ロボットは、タブレット端末と自動追尾型測量器との間でWi-Fi*4データ通信を行いながら墨出し位置に移動・到達した後、ロボットに内蔵されたインクジェットプリンターで直線や文字情報を描く仕組みです。
 本システムを活用することにより、広範囲で大量の墨出し作業が発生するエリアにおいて、非熟練作業者1名のみでも迅速かつ高精度の墨出し作業を実現し、熟練技術者をはじめとした労働力不足の課題にも対応することが可能です。また、ロボットが入り込めない狭いエリアにおいては、コントロールアプリのもう一つの機能である自動追尾型測量器の単体モードを活用することで、人手による墨出し作業でも大幅な効率化を図ることができます。さらに、従来は空調、衛生、電気など各設備の作業者がそれぞれ行っていた墨出し作業を、各CADデータを本システム上で共有することで、一括して行うことが可能です。これにより、工事全体の生産性向上にも貢献できます。

 2017年11月に、国内の空調設備の工事現場におけるパッケージエアコンの室内ユニットを設置する作業で本システムを試験導入した結果、図面から墨出しデータを割り出す工程から作業完了までの作業を、ロボットを操作するオペレーター1人のみで実施し、かつ図面との誤差は±3mm以内という高い墨出し精度を実現できることを確認しました。

 日立プラントサービスは、さまざまな設備工事現場へ本システムの導入を進めるとともに、上流エンジニアリング段階から一貫してITを活用することで、設備工事プロジェクト全体における生産性・品質向上と熟練技術者不足などの現場の課題に対応する取り組みをさらに加速していきます。

自動墨出しロボットシステムの構成

自動墨出しロボットシステムの構成

*1
二人作業を一人作業に短縮。
*2
BIM: Building Information Modeling。
*3
CAD(Computer-Aided Design): コンピューター支援設計。
*4
Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの商標または登録商標です。

お客様お問い合わせ先

株式会社日立プラントサービス フロントソリューション本部 研究開発センタ [担当:坪倉]
〒170-6034 東京都豊島区東池袋三丁目1番1号サンシャイン60
TEL: 03-6386-3000 (直通)

以上