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株式会社日立プラントサービス

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2022年3月14日
株式会社日立プラントサービス

医薬品やファインケミカルの次世代生産プロセスとして、製品開発から商用化までの
期間短縮と高精度な反応を実現するマイクロリアクタシステムを開発

高い混合効率での連続生産が可能、原料・廃棄物の抑制と多品種少量生産に貢献

マイクロリアクタシステムおよび関連サービスの概要
マイクロリアクタシステムおよび関連サービスの概要

 株式会社日立プラントサービス(以下、日立プラントサービス)は、医薬品やファインケミカルの次世代生産プロセスとして、製品開発から商用化までの期間を大幅に短縮するとともに、高精度な反応を実現するマイクロリアクタシステムを開発しました。今後、本マイクロリアクタシステムの製品化に向けた検証を行うとともに、最適な反応条件を見出す反応解析サービスも開発中です。
 マイクロリアクタは,数十から数百マイクロメートル程度の微小流路内で原料を迅速に混合し、反応温度を精密制御することが可能な連続生産方式の化学反応装置であり、医薬品やファインケミカルなどの製造効率を飛躍的に向上させることが期待されています。今回開発したマイクロリアクタシステムは、株式会社日立製作所が開発した基盤技術を基に、日立プラントサービスが製品化に向け技術開発を行ってきたもので、製品開発、量産検証、商用生産の用途ごとに装置をラインアップするとともに、独自の流路設計と反応解析サービス(開発中)により1:1の等流量比混合から1:20までの高流量比混合までの幅広いかつ高精度な反応を実現します。従来のバッチ式プロセスに比べて、商用生産プロセス確立の期間を短縮できるため、原料・廃棄物の抑制も可能です。また、接液部は全てシングルユース(ディスポーザブル利用)とすることにより、多品種少量生産における前ロットからのクロスコンタミネーションリスクを大幅に抑制できます。
 なお、日立プラントサービスでは、2021年8月から、東京工業大学と、フラボノイドオリゴマー*1の製造に本マイクロリアクタシステムを適用する共同研究を開始しており、従来バッチ式プロセスでは商用スケールでの生産実現が困難な新たな反応プロセスを見出しました。また、2015年11月から2019年9月まで、国内の大手製薬メーカーと、バイオ医薬品を低分子で化学修飾*2するプロセスに本マイクロリアクタシステムを応用する共同実証試験を行い、修飾数の制御精度が向上することを確認しました。

 今後、日立プラントサ―ビスでは、こうしたアカデミアやお客さまとの協創を通じてマイクロリアクタシステムの検証・製品化と用途開拓を進めるとともに、反応解析サービスの開発・実用化も進め、2022年度中の提供開始をめざしています。そして、上流プロセスエンジニアリングから、工場、プラントの設計、施工、サービスまでを一貫して提供することで、お客さまのモノづくりを支え、社会・環境・経済価値の向上に貢献していきます。
 なお、今回開発したマイクロリアクタシステムの実機を、日立プラントサービスの協創・研究開発拠点「環境イノベーションセンタ」(東京都板橋区) に設置しており、見学・ディスカッションを行うことが可能です。また、武田薬品工業株式会社が湘南研究所を開放することにより設立された、企業発のサイエンスパークである「湘南ヘルスイノベーションパーク」(神奈川県藤沢市)内にもマイクロリアクタシステムのラボ機を設置し、同パークに入居する企業に試用いただけるようにする予定です。

背景

 医薬品やファインケミカル分野では、多様かつ変化の激しいニーズに即応するため、製品開発から市場投入までのスピードアップと多品種少量生産が求められているとともに、開発、製造における原料消費や廃棄物、エネルギー消費の抑制など地球環境への配慮も必要です。
 従来、医薬品やファインケミカル製品は、原料を反応槽に投入し攪拌して反応を進行させるバッチ式プロセスで製造されてきました。しかし、製品開発段階のラボスケールから商用スケールにスケールアップする際に、反応の種類によっては反応熱の除去が困難で、かつ副生成物の発生を抑えながらの処理量増大が難しいことなどが課題であり、商用生産プロセスの確立に長い時間を要し、多くの廃棄物も発生させていました。また、反応槽のサイズによって一度に生産できる量が規定されることから、複数の品種を生産する際に、必要量に対して過剰量の生産となったり、複数回に分けて生産する必要があるなど、原料や時間の損失につながっていました。また、近年は、抗体医薬品に低分子化合物を化学的に結合して効果を高める化学修飾や、核酸医薬品を脂質膜で包含させた微粒子(LNP*3)の形成など、原料のより精密な流れの制御が必要なプロセスが増加してきています。
 こうしたニーズに対応するため、日立グループが長年培ってきた医薬品・ファインケミカル分野のプラントエンジニアリング技術および微細流路加工技術、流れ解析技術などの経験・ノウハウを応用し、このたびマイクロリアクタシステムおよび関連サービスの開発に取り組みました。

開発したマイクロリアクタシステムの特長

(1)製品開発から商用化までの期間を大幅に短縮

 数十gスケールまでの製品生産プロセスの開発を担うラボ用マイクロリアクタと、これと生成物が同等性を持つように設計された数十kgスケールでの量産検証を担うパイロット用マイクロリアクタをラインアップ。ラボ用マイクロリアクタには安定して原料を供給する「ラボ用送液システム(以下、ラボ機)」を、パイロット用マイクロリアクタには「パイロット用送液システム」を組み合わせて使用します。また、温度調節装置(オプション)を接続することで、適切な反応温度制御も可能です。これらにより、従来のバッチ式プロセスに比べて製品開発から量産検証までの期間が大幅に短縮され、それに伴い廃棄物量を削減することも期待できます。

(2)高い混合性能

 今回開発した標準化されたマイクロリアクタは、一方の原料を他方の原料で挟むシースフロー流路により、1種類で1:1の等流量比混合から1:20までの高流量比混合までをカバーし、多種多様な化学合成プロセスに対応可能です。

マイクロリアクタによる高流量と低流量での原料混合のイメージ
マイクロリアクタによる高流量と低流量での原料混合のイメージ

(3)多品種少量生産への対応

 接液部はすべてシングルユースすることが可能であり、医薬品製造で課題となっている、多品種生産下における前ロットからのクロスコンタミネーションリスクを大幅に抑制できます。

(4)プロセス開発支援サービスにより、スケールアップ製造方法の確立を短期間で実現

 ラボ機で得られたデータから最適な化学反応条件(原料濃度、原料混合比、反応温度など)を見出す反応解析サービス(開発中)を含む、プロセス開発支援サービスの利用により、科学的根拠に基づいて目的の製品を得るための最適な反応条件を高精度かつ迅速に特定できます。それにより、スケールアップ製造方法の確立を短期間で実現することが可能です。例えば、連続生産方式であるマイクロリアクタシステムの適用により、品種に応じた必要量の生産を無駄なく実行できるほか、工程理解が進むことで、従来法であるバッチ式生産においても、得られた最適な反応条件を活用してスケールアップを適切に実現できるようになることが期待されます。

(5)ロットサイズの異なる複数品種の医薬品GMP*4生産に対応

 商用製造にあたっては、医薬品GMP生産に対応する商用機を複数台設置し、必要生産量に合わせた運転時間と台数制御を行うことにより、ロットサイズの異なる複数品種の生産に対応することが可能です。

学会発表について

 今回開発したマイクロリアクタシステムは、化学工学会第87年会に併催される 「International Chemical Engineering Symposia (IChES) 2022」 で、2022年3月17日に発表予定です。また、東京工業大学との共同研究成果については、日本化学会第102春季年会で2022年3月25日に発表予定です。

日立プラントサービスについて

 日立プラントサービスは、日立グループの一員として、空気、水、エネルギーなど幅広い分野でお客さまのさまざまなニーズにお応えし、快適な社会の実現をめざす総合エンジニアリング企業です。各種プラント・工場設備のエンジニアリングからメンテナンスサービス、リニューアルまでを提供し、また、デジタルイノベーションを加速する日立のLumada*5との連携による設備運用の効率化ソリューションなどを提供することにより、お客さまのビジネスの成長と、社会課題の解決に貢献します。
 今回開発したマイクロリアクタシステムは、株式会社日立製作所が開発した基盤技術を基に、日立プラントサービスが製品化に向け技術開発を行ってきたものです。
 詳しくは、日立プラントサービスのウェブサイト(https://www.hitachi-hps.co.jp/)をご覧ください。

*1
フラボノイドオリゴマー:少数のフラボノイドモノマーが重合したもの。
*2
化学修飾:化学反応によって分子に他の分子を結合させ、活性、選択性、反応性などの機能を変化させること。
*3
LNP(Lipid Nanoparticle):脂質ナノ粒子。
*4
GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品の製造管理及び品質管理の基準。
*5
Lumada:お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。(https://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/)

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