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2018年7月2日
国立大学法人大阪大学
株式会社日立プラントサービス

再生医療技術の産業化促進に向けて、
大阪大学大学院工学研究科「日立プラントサービス再生医療協働研究所」を設立

細胞のサプライチェーン全般にわたる無菌保証や運用方法の確立に関する研究を実施


開所式の様子
(左:大阪大学大学院工学研究科長 田中 敏宏、右:株式会社日立プラントサービス取締役社長 中津 英司)

 国立大学法人大阪大学(総長:西尾 章治郎/以下、大阪大学)と株式会社日立プラントサービス(取締役社長:中津 英司/以下、日立プラントサービス)は、2018年6月1日に、大阪大学大学院工学研究科(大阪府吹田市)内に「日立プラントサービス再生医療協働研究所」(以下、本研究所)を共同で設立し、6月29日に開所式を執り行いました。本研究所では、再生医療技術の産業化促進に向けてクオリティの高い再生医療技術の事業プラットフォーム*1を構築することを目的に、「モノづくり」、「ルールづくり」、「ヒトづくり」、の実践の場として、細胞の製造や搬送を含めたサプライチェーン全般にわたる無菌保証や運用方法に関する研究を行っていきます。

 再生医療は、根本治療や他に治療法のない疾患の新たな治療法として期待されており、細胞加工物*2などの研究とともに法整備が進み、産業化に向けての環境が整いつつあります。産業化を進めるためには、細胞加工物の製造における個々の技術のみならず、原材料入荷から製造、検査、出荷、搬送までのサプライチェーンを支える事業基盤が必要になります。また、医薬品とは異なり、生きた細胞を取り扱うことからろ過による無菌化ができないという細胞製品特有のリスクが存在するため、これらのリスクに対処する方法をサプライチェーン全体で確立していくことが課題となっています。

 大阪大学大学院工学研究科では、これまで、細胞・組織製品の製造に係わる技術の構築に関する研究を行うとともに、細胞治療や再生医療などの細胞製造業をはじめとした新たな産業分野に対して、「モノづくり」、「ルールづくり」、「ヒトづくり」から成る「コトづくり」を実践し、産・官・学の三位一体で産業化を推進しています。
 一方、日立プラントサービスでは、長年にわたり豊富な実績があるクリーンルームで培った経験・ノウハウを生かして、再生医療の研究開発や製造を行う細胞培養加工施設の設計・建設やバリデーション*3を数多く手がけており、細胞の製造に必要な機器やITシステムも納入しています。また、サプライチェーンの関連企業とともに、事業プラットフォームの構築に向けて取り組み始めているところです。

 こうした中、大阪大学大学院工学研究科と日立プラントサービスは、両者の取り組みを融合し、2017年10月から再生医療技術の産業化に向けて共同研究に着手しました。そしてこのたび、クオリティの高い再生医療技術の事業プラットフォームの構築に向けて研究促進を図るために、本研究所を設置しました。
 本研究所では、病院などにおいて患者から細胞を採取してから患者に移植するまでの間における、細胞加工施設への搬送、同施設での入荷・検査・製造・検査・出荷、さらには病院への搬送までのサプライチェーン全般において、全工程を通じて継続的に無菌を維持できる技術や、生きた細胞である製品の品質を低下させない技術に関する研究を行います。具体的には、大阪大学が有する無菌操作法と日立プラントサービスが有する細胞加工施設のエンジニアリング力という両者の技術・ノウハウを生かし、製造施設・設備・装置や資材などの無菌維持や、サプライチェーン全般にわたる品質維持、これらの品質を担保するためのモニタリングや試験検査などのコアとなる技術を構築する「モノづくり」の研究を行います。また、レギュラトリーサイエンス*4の実践場として、科学的データに基づいて客観的かつ合理的に検証・評価し、国・行政の規制政策への提言につなげる「ルールづくり」や、再生医療技術の産業化を推進する上で不可欠な人材育成を行う「ヒトづくり」にも取り組んでいきます。さらに、本研究所は、大阪大学大学院医学系研究科と連携を強化し、臨床及び治療現場における実践的な問題点と課題の抽出を行い、研究を促進します。
 これらによって、細胞の品質確保と経済性の両立を図る最適な再生医療のプラットフォームを確立し、多くの企業群による安全性と高品質を担保した高効能な細胞加工物の製造と流通を実現し、再生医療技術の早期産業化と普及に貢献していきます。

*1
再生医療技術の事業プラットフォーム:再生医療技術の産業化に必要な再生医療特有のサプライチェーン。
*2
細胞加工物:人または動物の細胞に培養などの加工を施したもの。
*3
バリデーション:目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造するために、構造設備や手順、工程が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすること。
*4
レギュラトリーサイエンス:「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」(第4次科学技術基本計画 平成23年8月19日閣議決定)であり、すなわち有効性と安全性の評価科学。

日立プラントサービス再生医療協働研究所について

研究所名:日立プラントサービス再生医療協働研究所
所在地:大阪大学大学院工学研究科(〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2−1)
開所日:2018年6月1日

研究内容の全体像

再生医療技術における事業プラットフォームの位置づけ

本件に関する問い合わせ先

<協働研究所に関すること>
大阪大学大学院工学研究科 日立プラントサービス再生医療協働研究所 [担当:池松]
TEL: 06-6105-6230 (直通)

株式会社日立プラントサービス フロントソリューション本部 [担当:福島]
TEL: 03-6386-3000 (直通)

以上