クリーンルームとは、「空気中の微粒子、必要に応じて温湿度、圧力、微量ガス成分、静電気、微振動、電磁波などの環境条件を制御できる部屋」のことです。基本的な構成は下図のようになっています。
クリーンルームの基本構成
半導体やディスプレイなどの精密工業製品の製造にはクリーンルームが不可欠です。このような工場のクリーンルームを構築するには室内の温度、清浄度を確保する空調・除塵設備、生産装置に必要な冷却水、特殊材料ガス、純水などを供給するユーティリティ設備、これら設備の冷却、加温、加湿などを行う熱源設備、そして室内の状態、設備機器の運転・停止動作、故障の把握までを行う監視・制御設備が必要です。
工業用クリーンルーム概念図
工業用クリーンルームの清浄度規格は、1963年に制定された米国連邦規格が基本となっていますが、1999年にISO 14644-1が制定されたことにより、2001年11月以降はISO規格に統一されています。なお、日本のJIS B9920はISOと整合していますので、同様に用いられています。
清浄度クラスは、1m3空気中の0.1μm以上の粒子数の指数で表されます。
清浄度クラス (ISO) |
粒径(μm) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.5 | 1 | 5 | |
クラス1 | 10 | |||||
クラス2 | 100 | 24 | 10 | |||
クラス3 | 1,000 | 237 | 102 | 35 | ||
クラス4 | 10,000 | 2,370 | 1,020 | 352 | 83 | |
クラス5 | 100,000 | 23,700 | 10,200 | 3,520 | 832 | 29 |
クラス6 | 1,000,000 | 237,000 | 102,000 | 35,200 | 8,320 | 293 |
クラス7 | 352,000 | 83,200 | 2,930 | |||
クラス8 | 3,520,000 | 832,000 | 29,300 | |||
クラス9 | 35,200,000 | 8,320,000 | 293,000 |
単位:(個/m2)
クリーンルームの方式は、主に垂直一方向流、非一方向流に分類されます。生産設備や研究設備などに必要な清浄度と気流の流れを考慮し、目的に合ったクリーンルーム方式を選定します。
天井に設置したファンフィルタユニットにより清浄空気を一方向に流し、グレーチング床下からレターンシャフトを通じて天井に戻して循環させて、室内を高清浄度に維持する方式です。清浄度は、ファンフィルタユニットの配置や運転台数を変えることで容易に変更できます。
清浄度ISOクラス3以上のクリーンルームに適しています。
室外に設置した空調機によって空気を循環させ、室内で発生した塵埃を希釈して清浄度を維持する方式です。吹き出し、吸い込み位置を任意に設計でき、既設施設にも導入できます。
清浄度ISOクラス3〜7程度のクリーンルームに適しています。